こやまうんてんの紅茶日記

こやまうんてん(2022年度卒)

1. はじめに

 皆様お久しぶりです。学籍がなくなったのでKUREHAの資格がなくなってKAREHAメンバーとなり,もう2年が経とうとしています。以前2回ほどアドベントカレンダーに投稿したことがありましたが,再登場させてもらえることになりました。2021年以来だそうです。

 軽く自己紹介をしますが,2017年11月1日の設立当時からKUREHAにいて,お茶も買う傍ら地方のティールーム・(紅茶にこだわっている)喫茶店を訪問することを趣味にしています。47都道府県制覇とまではいってないですが(四国と東北をごっそり残している),半分以上の都道府県の色んなところに行きました。

今回も,もう色々忘れかけていますが色んな場所でお茶を飲んできた話をしようと思います。2023年に北陸にいったときのものと,2024年大阪・奈良に行ったときのものを少し紹介させてください。訪問したときの状況が千差万別で記憶もまばらなので,感想・評価の粒度が全く揃っていないですが,どこも私の記憶の限り自信を持っておすすめできるところばかりです。ぜひ,その地域に赴いた際は覗いてみてくださいね(閉業していたらごめん)。

2. 紅茶日記2023

2.1. 夢乃舎(愛知県尾張旭市,2023年7月26日訪問)

 尾張旭といえば紅茶がまちおこしの場所。名鉄瀬戸線三郷駅から北へ,丘を登っていきましょう。朝からやっています。愛知の名古屋界隈といえばモーニングサービスですが,このお店も図 2.1-1にあるようなサービスをやっています。12時までのようですが,お店の営業時間がなんと13時までなのでお気をつけ。めっちゃ住宅地のなかのめっちゃ民家なお店で,本当に家の台所にいるかのような気持ちになる空間。

 この日は猛暑だったので朝10時にも関わらず,20分歩いただけで汗びっしょりに。ディンブラベース?の「夢乃舎ティー」が体に染みる。高速バスに揺られてやってきて,朝食を摂っていなかったのでいい朝ご飯と運動になった。あと気温が5度低かったらな… バスもありますが1時間に1本なので,時間帯を狙って行きましょう。

図 2.2-1 紅茶日和『季節のブレンド』とパウンドケーキ

2.2. 紅茶日和(愛知県名古屋市,同26日訪問)

 この日5軒目の訪問,猛暑の中歩き続けて熱中症になりかけの中ドアをくぐったのがこのお店。名鉄瀬戸線・東山線にサンドイッチされてちょうど真ん中にある,正直公共交通でのアクセスは良くない(名古屋は車社会なので残念でもなく当然)が,マンションの1Fにある地域の人が良く来そうなお店。

 気取った雰囲気でもなく,過度に「アットホーム」でもなく,ちょうどよいこだわりを感じる空間。図 2.2-1にあるとおり,「季節のブレンド」をいただきました。季節のブレンドは「海音」,すごく夏を感じます。そして,写真を見て妙だと思った方もいると思いますが,アイスティーを頼んだのにポットが付いてきています。この日は名古屋市の最高気温は38度超え1ですので,わざわざ冷たい紅茶と熱い紅茶を交互に飲んでいる余裕はありません。そう,アイスティーなのにポットサービスなのです。珍しいですね。非常にありがたくいただきました。

 お茶の味の話を一切していなくて申し訳ありませんが,かなりスッキリした風味だったこと以外思い出せないんです…… でもすごくいいところだったので行ってください。

図 2.2-1 紅茶日和『季節のブレンド』とパウンドケーキ

1: https://tenki.jp/past/2023/07/26/weather/5/26/47636/

2.3. くらぜん(岐阜県岐阜市,同27日訪問)

 岐阜駅近くなので,立ち寄りやすい場所にあるティールーム。実は2019年に一度行こうとして,やっていなかったのでリベンジ訪問となります。こちらも朝からやっている素晴らしいお店。ただし週に4日しか営業していないので注意。

 図 2.3-1の(a)はお店でいただいたディンブラ。瀬戸物のコップはなかなか見なくていい趣向です。(b)は砂糖のシロップですが,なんとビーカーです。こういうのは面白くて好きです。さらに図 2.3-2のモーニングセットをつけられます。パンはお店の方が持ってきてくださる中から選ぶことができ,私は納豆パンを選びました。ディンブラと納豆,なかなかよかったですよ?もっと合う紅茶があるかもしれません。紅茶と納豆のペアを誰か流行らせてください。ラーメンだって合うのだから,「この食べ物は合わない(だろう)」と思っているのは私やあなたが試さないだけかもしれませんね。

(a) ディンブラ

(b) シロップ

図 2.3-1 くらぜんの紅茶・シロップ

図 2.3-2 くらぜんのモーニングセット

2.4. お茶とハーブの店茶蔵(福井県敦賀市,同27日訪問)

敦賀駅からレンタサイクルを爆走させて15分ほど。中心部を外れて田畑が広がるところのお店です。本格的な紅茶店というよりは,おしゃれなハーブティーのラインナップが目を引くお店。

 地方都市郊外の緑が多い場所で,ハーブやお茶に満たされる素晴らしいスポット。図 2.4-1はお店でいただいたピーチティー。近くで現場作業をしている方が作業着でお茶をいただきに来ており,地域密着を感じました。別料金でハーブティーのブレンドをカスタムできるサービスも有るようです。お茶だけでなく,ハーブにも興味がある方は敦賀に立ち寄った際に行ってみてはいかがでしょう。

 帰り際,外に出ていたお店の方がランドクルーザーの運転席から顔を出してご挨拶くださいました。そういう雰囲気含めて,田舎者の自分には感動があったかなと。

図 2.4-1 茶蔵のピーチティー

2.5. Cava?ヒトトナリ(福井県福井市,同27日訪問)

福井駅からは少し遠い場所なのでバスで行かなくてはなりませんが,良い街のティールーム。ダージリン,ウヴァ,正山小種など有名どころの名前は一通りメニューにあり,手軽にお茶を楽しめる。図 2.5-1は私が頼んだキームン(スモーキーが目立つありがちなもの)。身近な街の中で有名どころの紅茶が一通り飲めるのは素晴らしい文化資本ですので,ぜひ地域で大切にされてほしいな~と感じました。お昼時に来るとランチメニューもあるようで,調べると魅力的なので時間帯が合えばぜひ。

図 2.5-1 ヒトトナリのキームン

2.6. ティーハウスさくら(石川県金沢市,同29日訪問)

金沢は有名観光地,近江町市場から外れた住宅地の一角にあるお店。お店はこぢんまりしていて広くないが,隠れ家ほどではない空間でゆったりお茶を楽しめる。元シェフの店主が振る舞うランチが楽しめ,更にムレスナティーをティーフリー形式で楽しめます。ここまで聞くと,よくある意識高い高い系の小綺麗な量産型店舗(オーガニックそうなランチとかきれいなお菓子とかが食えるやつ)を思い浮かべますが,そういうものではなく純粋に店主さん個人のこだわりが感じられます。「紅茶にはスコーンじゃないかと言ってきた人がいたからうちはスコーンを出さない(記憶が定かじゃないので間違っているかもしれない)」とも仰っており,すごくお茶と食へのこだわりを感じます。クリームティーは確かにひとつの形式ですが,それが決まりでもなければ,この世の楽しみ方の全てではない。評論家気取りで短絡的にそんなことを口走ってしまうような人にはなりたくないものです。

 さて,図 2.6-1はお店でいただいたピーチティーです。写真を見て変だなと思った方もいらっしゃるかもしれませんが,たしかに変(褒め言葉)で,なんと紅茶を頼んだらティーフリーがつきます(?!?!?!)ピーチティーとムレスナの様々な香りにつつまれた,良い時間を過ごせました。金沢観光のおともに,いかがでしょう。

図 2.6-1 さくらのピーチティーとティーフリー

2.7. 紅茶専門店イーストリバー(石川県小松市,同29日訪問)同27日訪問)

ここは,車がないとちょっと到達が難しいところにあります。金沢駅近くから来るまで40分近くです。田畑が広がるところに小さく密集する住宅地の一角にある,小さな町の紅茶屋さんです。私が到着したときには2,3台ほど車がおり,地域の方の憩いの場となっている模様でした。

 さて,図 2.7-1はお店でいただいたミニアフタヌーンティーセット。なんと予約不要で手軽に豪華な軽食がいただけます。そして画像右側の黄色いドリンクはウェルカムティー。水出しで淡いフレーバーが漂います。濃いアッサムと,スコーン,ホットサンドがGOOD。非常にサービスが行き渡っていて,身近にこのようなお店があればいいと思えました。都会人の驕りというかひどい勘違いですが,和歌山や日田でも出会ったように,地方のこのような場所に温かいおしゃれなお店があるとすごく嬉しい気分になります。なかなか来る機会はないと思いますが,なにかの折に近くを通りかかったら,ぜひ思い出してくれると私も嬉しくなります。

図 2.7-1 イーストリバーのミニアフタヌーンティーセット

2.8. Café uchikawa 六角堂(富山県射水市,同30日訪問)

 北陸旅行の最終日,海岸沿いのきれいな街の喫茶店に出会いました(図 2.8-2)。紅茶専門店ではありませんが,ネパール紅茶のフレーバーティーを推しているお店です(お茶の写真は全部ピンボケしていたので,掲載しません💦)。図 2.8-1のサンドイッチも非常に美味しかった。お酒が飲める味とボリュームで,お茶を飲まなくてもいい懐の深い場所です。街のお祭りにカレーを出展されていて,地域密着を感じました。徒歩数分で海もある景色の良いところ(図 2.8-3)なので,車で近くを通りかかったときはぜひ。なお,コミュニティバスは本数が少ないので,おすすめしません……

図 2.8-1 六角堂のサンドイッチ

図 2.8-2 六角堂さん外観

https://t.co/b8SXjQ7r6Y

図 2.8-3 射水の海

2.9. ANNA MARIE CAFÉ(奈良県奈良市,2024年9月20日訪問)

 この日は,前日に山下達郎の公演を大阪で鑑賞し,満足感に浸ったまま近鉄で奈良駅まで移動。近鉄奈良駅から徒歩3分ほどの場所に,朝からやっているティールームが。朝だけいただけるセットでヌワラエリヤを(図 2.9-1)。個人的に朝はヌワラエリヤかディンブラなのです。駅チカの住宅地のティールーム,こういうのが本当に近所にあればいいのに😭

 なお,なぜかJAF優待店で,ランチ時間帯に来るとランチセットにミニアイスクリームが特典で付きます。JAF会員の方は,ぜひ。

図 2.9-1 朝セット

2.10. トリントンティールーム(大阪府大阪市,同20日訪問)

 大阪の住宅地の中のティールーム。アンティークがたくさん飾ってあるおしゃれなお店です。ここで面白かったのは,インドネシアの紅茶がいただけたこと。ブキッサリ茶園,というのは恥ずかしながら聞いたことがありませんでしたが,中国の蜜香を思わせる甘い濃さと強い香りで,頭がクラクラしそうなくらい印象強いお茶でした。茶器がどこのものか聞くのを忘れましたが,華やかなものもたまにはいいですね。アンティークとともに,きれいなティーカップがたくさん並んでいます。私は落ち着いたものばかり持っていますが,外ではこういうのも気分転換になっていいですね。大阪には他にもいいお店がたくさんあります。尺と時間の都合で紹介しきれませんが,みなさんも探してみると,楽しいかもしれません☆

図 2.10-1 トリントンのインドネシア紅茶

3. おわりに

 久々に紅茶で長文を書くので,ちょっと一般的にいいことでも書きましょうかね。紅茶が好きだと一言で言っても,どんな楽しみ方をするかは人によって違います。日常使いのティーバッグをよく飲む人,専門店で高い葉っぱいっぱい買って並べる人,年とか農園の違いを比べることに執念を燃やす人,そして私のようにとにかく紅茶が飲めるお店を大量に訪問する人。色々います。そして,ただ淹れ方がどうだとか葉っぱがどうだとかペアリングがどうだとか,そういうウンチクも大事ですが,前述のような任意の楽しみ方が文化をつくる大事なピースの1つだと思います。勿論,何でも勉強して知るようになると楽しいですが,気後れしないで,自分の好きなものを好きな方法で,好きなペースで楽しんでいってほしいですね(紅茶に限らない)。KUREHAのいいところは,そのような人たちをすべて包含できる活動の幅が行き届いているというところだと思います。ライトなお茶会・学園祭の出展に参加するもよし,出展するためのメニューを作り込む人たちや,飲み比べをする人たちのようなオタク的に没頭する人たちもいます。昨今では日本紅茶協会さんに陽にお力添え頂くなど,我々の時代では考えられないくらい進歩していて驚きますが,後輩各位にはそのような多様で寛容な文化を守り抜いていってほしいなぁ……

 こと私個人の話に戻すと,地方の喫茶文化の拠点を様々訪れていると,洗練された文化は大都市圏だけのものではないことに気づきます。都会の張り詰めた雰囲気でかしこまりながらお茶を飲んだり,大量の茶葉を前に修行したりするのも,それはそれで形式・知識をより洗練させる営みという点で面白い。しかし,たまにはゆっくり時間が流れる場所,それも自分の家ではないような非日常の場所で,自分の好きって何だろうという問いと向き合ってみるのも,楽しいですよ。私の仲間が増えてくれると嬉しいです。いつ,誰が,どこで,どんな風に飲んだって楽しんだっていいのです。お茶は。

2024年11月27日,紅茶じゃなくてウイスキーを飲みながら
こやまうんてん