ヨーロッパ旅行記(後編)

4年の田鍋です。昨日に引き続き、ヨーロッパ旅行のお話を!

Day 4 – Venice

今日はいよいよローマを離れ、イタリア北部に位置する水の都・ベネチアに向かいます。

ローマのテルミニ駅からベネチア・サンタルチア駅までは高速鉄道で約5時間の道のり。乗り換えはありません。

巨大なテルミニ駅で発車時刻まで少しお買い物。ジェラートを楽しんで、車内で食べるランチもゲット。僕はトマトとモッツァレラとバジルの入ったサンドイッチとレモネード、おやつのチョコレートを買いました。

時間が近づくと、電光掲示板に発車ホームが表示されます。それより前に駅員さんに聞いてみても分からないからアレを見て、と電光掲示板を指さされるだけなのでした。

出発ホームを確認して、事前に手に入れておいたQRコードをかざして改札内に入ります。

待っていたのは真っ赤な列車。まさにイタリア!というこの色合いはフェラーリを思わせますが、それもそのはず、この高速鉄道は当時フェラーリを傘下にもっていたフィアットの会長らの出資で設立されたのです。車体デザインもカーデザイナーとしても名高いジウジアーロ氏の事務所が手掛けています。

列車は定刻通りに出発し、とても静かに滑り出しました。後は終着駅まで乗っているだけ。5時間の車窓の旅はあっという間に過ぎて、気がついたら海が見えてきました。海面のすぐ近くを走る列車はまるで千と千尋の神隠し。遠くにベネチアの街並みが見えてきました。

到着したのはベネチア・サンタ・ルチア駅。サンタ・ルチアと言えば民謡で有名ですね。中学の時に音楽の授業で歌った記憶があります。
聖ルチアはキリスト教の世界で拷問で両目を抉り取られ殉教した聖人で、ここベネチアにあるサン・ジェレミア教会に眠っています。

駅を出ると、すぐ目の前に大運河カナル・グランデがあり、たくさんの船が往来しています。水の都ベネチアでは、車だけでなく自転車の乗り入れも禁止されており、島内の移動は徒歩か船。かつての貴族たちは移動に運河を使っていたそうで、玄関が運河に面している建物も数多くあります。
到着したのは現地時間で16時。日が傾いて運河沿いの建物を優しく照らす景色に、家族一同言葉を失いました。

島内の観光には水上バスか水上タクシーを使います。水上バスは10〜15分に1本のペースで走っており観光には十分。今回は48時間の乗り放題パスを購入することにします。

大運河にある停留所から水上バスに乗り込み、たくさんの船とすれ違いながら名所リアルト橋に向かいます。リアルト橋のふもとにはゴンドラ乗り場がたくさんあるようで、多くのゴンドラが往来しています。混雑している時にはなかなか乗れないと聞いていたのですが、運よく待ち時間なしでゴンドラに乗れることに!

ゴンドラはスイスイと狭い路地……? に吸い込まれていきます。ゆらゆらと水面のぎりぎりに浮かぶゴンドラは、まるでゆりかごのよう。ゴンドリエーレと呼ばれる漕ぎ手のおじちゃんが、街のことを教えてくれます。今もこの島にはたくさんの人が住んでいて、多くは観光業で生計を立てているんだよ、とか、この建物は昔監獄として使われていたんだよ、とか。

さらに進んでいくと、一つの建物が見えてきました。『東方見聞録』で有名な、いや、一部の人にはマリアージュフレールの看板商品としての方が有名でしょうか。かのマルコ・ポーロが住んでいたと伝わる家です。

30分ほどゴンドラに揺られて、リアルト橋に戻ってきました。橋をくぐると…… 夕暮れが見事に街を照らしています。あまりの絶景に言葉を失い、全身に鳥肌が立つのを感じながら、ベネチアに来ることができた喜びを噛み締める瞬間でした。

ゴンドラをおりて、今度はリアルト橋にのぼってみましょう。だんだん日がかげっていく中、そこに広がっていたのは、ただひたすらに美しい世界でした。自然と涙が溢れてくるような景色です。

ディナーはGoogle Mapで見つけた路地裏のお店。絶品でした。

特にエビのジェノベーゼ。人生で食べたあらゆるイタリア料理の中で確実に一番美味しかった。今回の旅行で唯一全く同じメニューをおかわりしました。これだけのためにまたベネチアに行きたいくらい。ああ、また食べたくなってきた。

お腹いっぱいになるまで食べて、自分の胃袋がもっとあったらもっと食べられるのにと欲張りなことを考えながらお店を後にします。少し肌寒い夜のベネチアを歩くのもまた、格別でした。

Day 5 – Venice

さて、今日はさらにベネチアを観光します。昨日とは打って変わって、朝から全体がうっすらともやに覆われています。水の都だけあって、霧やもやも多々発生するようです。
向かったのはサン・マルコ広場。ローマとはまた違った様式ですね。

寺院を見学した後は、父の希望でタイプライター製造で成功したolivetti社のショールームへ。イタリアの建築家カルロ・スカルパが監修したそうです。階段一つとっても、宙に浮いているような軽やかさ、タイプライターを思わせる一本だけ横に飛び出したデザイン、名作と言われる所以を感じます。あいにくこの日は休館で、中に入ることは叶いませんでした。

さて、まだまだ続きます。また水上バスにのって本島から離れたムラーノ島へ。ベネチアといえばベネチアングラスと呼ばれるガラス工芸で有名ですが、ムラーノ島はその代表的な場所。この島で作られるガラス製品はベネチアングラスの中でも特別にムラーノグラスと呼ばれるそうです。パスタを食べ、ガラスのミュージアムを見学し、無数にあるお店を回って各々お土産を買いました。水上バスで本島に戻り、しばらく休憩したらディナーへ。ローマよりも海鮮系のパスタが多いのはやはり水の都だから?デザートはやっぱりジェラートです。
さあ、これでベネチア観光はおしまい。イタリア料理も食べ納めです。いよいよ情熱の国スペインへ向かいます!!

Day 6 – Barcelona

朝イチのフライトで、ベネチア・マルコポーロ国際空港からバルセロナ=エル・プラット空港まで2時間の空の旅です。空港からはバスでバルセロナ中心部に向かいます。渋滞に巻き込まれながら、カタルーニャ広場に到着!!イタリアとはまたガラッと雰囲気が変わりました。

宿に荷物をおいたら、地下鉄でひとつ目の目的地に向かいます。バルセロナには建築家ガウディの作品が多くのこされており、その建築群は世界遺産にも登録されています。

最初はCasa Batllo。Batlloさんのおうちです。海をモチーフとしたこの建築には、床、壁、天井、照明、ドアノブに至るまで、その全てが繊細にデザインされています。曲線を巧みに使いこなすこの技はまさにガウディ建築。ジュール・ヴェルヌの『海底二万マイル』を思い出しながら回っていました。

そしてせっかくスペインに来たのだから、晩御飯はもちろんパエリア!!超肉厚なステーキも最高でした!!

Day 7 – Barcelona 

さて7日目。今回の旅行の最大の目玉と言ってもいい場所、サグラダファミリアへ!100年以上工事が続く最も有名なガウディ建築ですが、2026年にひとまず完成の予定となっています。完成前に滑り込みで見に来ることができました。キリスト教にまつわる緻密な彫刻が至る所に施されています。

建物の中は森をイメージした壮大な空間となっています。足を踏み入れると、そこが神聖な空間であることを全身でひしひしと感じます。この時の心情はとても言葉には言い表せません。
それぞれのファサードを見て周り、塔を登り、サグラダファミリアを堪能しました。とても印象的な場所でしたが、今思い返しても言葉が出てきません。ぜひ実際に行かれることをお勧めします。

去り際には太陽が差し、見事な姿を見ることができました。

お次はグエル公園。こちらもガウディの作品です。丘にある公園からは、バルセロナの市街地と、サグラダファミリアが一望できます。
こちらも自然にインスパイアされた曲線が至る所で使われています。芸術というほかありません。

さらに続いてはCasa Mirra。集合住宅です。当時の上流階級の暮らしが再現されており、その様子を垣間見ることができます。
ここでもやはり生物的な曲線が多用され、ガウディ独自の世界が繰り広げられていますね。鯨の腹の中とも呼ばれる屋根裏は、糸のたわみをかたどったカテナリーアーチが使われています。サグラダファミリアやCasa Batlloでも見られましたね。
ここでも、屋上からサグラダファミリアを見ることができます。

中庭から空を見上げる。ゴツゴツした岩の外観とは裏腹に、ツヤのある滑らかな仕上がり。
額縁のように作られたトンネルもカテナリーアーチ。

晩御飯はやっぱりパエリア。文句のつけようがありません。イタリア料理も素晴らしかったけどスペインもまた美食の国ですね。

Day 8 – Barcelona

さあ、いよいよ旅も最終日を迎えました。15時発のフライトで大阪に戻ります。午前中に少しだけバルセロナを観光します。

向かったのはカタルーニャ音楽堂。今回の旅では、バルセロナで唯一ガウディ以外の建築でした。
ここの目玉はなんと言ってもガラスのシャンデリア。カラフルなガラスで美しく彩られています。
劇団員らしき人たちが、演劇のリハーサルをしています。朝日の差し込む美しい音楽堂は、まさに唯一無二の美しさがありました。

お昼前にはバスで空港へ移動し、チェックインを済ませます。フードコートでやたらと美味しいステーキを食べて、長い帰路に着きました。ちなみに姉はここで残り、友人たちと合流してパリに足を伸ばしたそうです。お土産にKUSUMI TEAをもらいました笑

トランジットを終え、ドバイ→関空便に搭乗すると、そこは日本人だらけ。機内食はサーモンの照り焼きでした。約10日ぶりの醤油の味に感動したことを覚えています。

ヨーロッパの素晴らしい芸術に触れ、感性が豊かになる家族旅行でした。
また遠くないうちに、今回行けなかった場所にも足を運びたいものです。
世界はあまりにも広く、人生の中で巡れる場所は限られているからこそ、たくさんの良いものを見て回りたいですね。

ここまで長い長い旅行記をお読みいただいた稀有なみなさまへ。
だらだらと書き綴った駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
またどこかでお会いいたしましょう!