こんにちは。駒場祭2024を契機にKUREHAに入会した3年の鴫です。
今回は、駒場祭直後に突拍子もなく山梨に旅行したことについてお話していこうと思います。
駒場祭の最終日、駒場キャンパスから本郷にあるレンタルロッカーまでKUREHAの備品を輸送する必要があったので、車を借りていました。2回目の輸送作業中、同期の吉田が「今から山梨行かん?」と言い出しました。「山梨で星空を見て、ほったらかし温泉に入ったらQOLがかなり高いと思うんだ。」
1回目の輸送中にも彼は「このままどこか遠出したいわ〜」と言っていて、同席していた小塚も私も一瞬で行く気満々になりました。KUREHA歴は短い私ですが、吉田と小塚とは前期教養時代に同じクラスで、3年目の付き合いなんです。ということで、お互いにどんな人間なのか十分に知っているし、以前にも更に何人か含めて旅行したことがあるので、躊躇う要素なんてありませんでした。
ということで、山梨行きが決まりました。
レンタカーを何時にどこで何時間借りるか、着替えはどうするか、温泉が始まるまでの時間はどうするか、誰が運転するかなどを決めて荒削りの計画が立ちました。あとは旅に出るだけ。もうこの時点で駒場祭の疲れなぞどこ吹く風でした。今借りている車はKUREHAの経費で借りているので、一度車を返却してから別の車に乗りいざ出発!
翌日に実験の発表が控えていて発表資料が出来上がっていなかった私が行きに運転して、帰りは吉田が運転することにしました。
「いや、発表資料できてないなら旅行行くなよ」というお叱りが聞こえてきそうですが、私にとってはこういう「体力も時間もある学生のうちにしかできないこと」って圧倒的に価値が高いんですよ。だって、学祭の最終日にそのまま思いつきで山梨に行った、なんて面白いじゃないですか。
帰りは運転しないから発表資料作れるし、東京に戻ってきてからも1,2時間あるから大丈夫だろう、と。そうタカをくくったわけです。どうせ自分なら終わらせられると。
さてさて私の楽観的な人生哲学はこれくらいにして、旅行に話を戻しましょう。ガソリンを入れて首都高に乗りました。実は首都高を自分で運転するのはこれが初めてだったり。予定通り、吉田・小塚は車内で睡眠を取り、私は好きな音楽を掛けながら運転に集中。羊文学の「ハイウェイ」が流れてきたとき、歌詞がとても叙情的で、なんとも言えない心地よさに浸っていました。
随分と長く僕ら走っていたけど それでどこへ来たんだろう
コンビニの明かりがやけに眩しく映る
知らない街の夜
(ハイウェイ/羊文学)
僕はハイウェイにのって
どこまでも行くんだゆくんだ
夜の風に溶けて飛んで行けるよ
(ハイウェイ/羊文学)
そしてキタニタツヤの「旅にでも出よっか」もまた、この旅行に似合う曲でした。
明日のことは明日の僕が
うまくやってるでしょう
旅にでも出よっか
遠く遠くのどっか
狭いまちを飛び出して
今日はよそで寝よう
(旅にでも出よっか/キタニタツヤ)
首都高から中央道に移り、2時間ほど経ったところで高速を降りました。そのまま吉田お気に入りの展望台に行き、二人を起こしました。展望台につくまでの道すがら運転席から既にきれいな景色が見えていましたが、展望台からは格別の景色が見えました。眼下には夜明かり灯る市街地が広がり、空は満天の星空。思わず息を飲む景色がそこにはありました。数時間前は祭りの喧騒の中にいたのが嘘みたいに静謐で、祭とは別種の非日常感を強く覚えました。

しばらく景色を楽しんでいたのですが、外気温1℃であまりにも寒かったので一旦近くの自販機に温かい飲み物を買いに行きました。その自動販売機がある場所からもまた違った景色が見えました。人工的な自動販売機と自然な星空のコントラストが印象的でした。
そこでもひとしきり写真を撮って、展望台に戻りました。車で十分もかからないのですが小塚はすっかり寝てしまったので、私と吉田で夜景を楽しんでいました。
展望台からの眺望を堪能しきってもまだ温泉が開くまで数時間残っていたので、もっと綺麗な星が見える場所を探しに向かいました。展望台は街明かりと星空の組み合わせが綺麗だったので、今度は星しか見えない場所へ行こうと。地図で吉田がよさげな場所を見つけてくれたので、車を走らせ向かいました。これまた展望台だったのですが、先程よりもより多くの星が見えました。ただ、街灯がついていて理想的とは言えなかったのでまた更に山奥へ進みました。いよいよ街灯もなくなってきて、暗い山の中を進んでいたところで、すこし景色が開けた場所に出ました。そこで、吉田が「ここらへん良さそう」と言ったので、車を安全な場所に停めて車外へ。
そこには、私が見てきた中で一番の星空がありました。「空にはこんなに星があったのか」なんて陳腐な感想では到底語り尽くせぬ景色でした。もはやこの景色は写真に収めず、目に焼き付けたほうがいい。きっとこの美しさは写真には収まりきらない、と思いました。
しばらく眺めていると、流れ星が一筋。「あっ!」、私と吉田の声が重なりました。誰かと星空を眺めていて、同じ流れ星を見るなんてそうそうできることではありません。圧倒的な激アツ展開に我々は興奮が抑えられませんでした。
一方車内では、駒場祭で疲れ切っていた小塚がぐっすり寝ていました。
さてお次は、登ってきた山道を降りて、寝静まった市街地を通り抜けて、ほったらかし温泉近くの展望台へ。ここもすごく綺麗な景色でしたが、やはりさっき見た満天の星空が忘れられませんでした。時刻は4時半を回り、体力が切れかかっていたのでほったらかし温泉まで行って、仮眠を取ることにしました。狭く急な山道を登っていくと、ほったらかし温泉へ続く一本道で車が数台止まっていました。道幅が狭かったので追い越すこともできず、一旦止まることに。流石に心細かったので吉田を起こしてどうするか相談しました。ここまで来て引き返すのも嫌だし、1時間ほどすればきっとなにか変わるだろうとなり、一応鍵を掛けて仮眠を取りました。疲れているとはいえ、気を張っていたのでそう簡単に熟睡できるわけもなく、ものの20分ぐらいで勝手に目が覚めました。どうやら前の車がエンジンを掛けた音で目覚めたみたいです。数台前を見てみると車が進み始めていたので、しっかり目を覚まして温泉の駐車場まで向かいました。無事に駐車してから、二人を起こしました。
空はもうすこし白み始めていて、夜明けが近づいているのが感じられました。寒さに凍えながらチケットを買って温泉へ。小学校の教室を想起させる石油ストーブの香りに懐かしさを覚えつつ、身体を洗って露天風呂に出ました。星空観察で冷え切った身体に温泉は最高でしたね。強烈な眠気に襲われましたが、ここで寝てしまってはもったいないので適当に雑談しながら日の出を待ちました。正面の山際がどんどん明るくなっていって、眼下の街にも朝の陽光が差し込み始めました。
そして遂に日の出が訪れました。ちゃんとした日の出を見たのは初めてでしたが、第一印象は「眩しい…」でした。もうちょっと「おー!」ってなると思っていたんですがね。綺麗な景色であることは間違いなく理解してはいたのですが、流石に疲れが来てましたね。まあ、駒場祭を終えてから合計8時間弱ワンオペ運転していたので仕方ないですかね。それでも、心が洗われるとはこういうことなんだ、と思いました。温泉から見えるのは、雲ひとつない青空と陽光に照らされた山々の稜線と眼下の街並み。疲れを癒やすには十分すぎる温泉でした。
温泉から上がって、ほったらかし温泉名物の卵かけご飯を頂きました。これがまた美味しくて、もう普通の卵かけご飯じゃ満足できない気がします。

そしていよいよ帰路につきました。吉田が運転して小塚は助手席へ移り、私は後部座席でPCを開いて作業したり寝ていたり。最初の方は起きていて、発表資料を作っていた記憶があるのですが、高速道路に乗ったあたりでどうやら寝落ちしたみたいです。次に目が覚めたときには甲州街道を走っていました。
「なんで下道?」と思い、吉田に聞いてみたら中央道があまりにも混雑しているため、高速道路を降りて下道で帰ることにしたみたいです。それでも甲州街道も混雑していたので、迂回していくことにしました。吉田宅が南東方向にあって、本来のルートでは甲州街道で東に行ってから南に行くルートだったのですが、ちょうど南に行ってから東に向かって目的地に着ける道路があったので、私が道案内することにしました。カーナビの指示を無視しながら細い道を走っていった結果、予定より10分早く到着することができました。
吉田宅の前で彼は降りて、私が再び運転席へ。カーシェアの駐車場まで10分ほど運転して、無事に車を返却。これで短いようで長かった旅が終わりました。
発表資料ですが、車を返した後大学に直行して、無事に作り終わりました。また良くない成功体験を積んでしまいましたが、まあいいでしょう。「終わりよければ全てよし」という諺もありますから。
無計画ではありましたが、とてもいい旅でした。誘ってくれた吉田と同行してくれた小塚に感謝を述べて、この旅行記を終えようと思います。